施工計画書約10分で読めます
施工計画書の提出前チェックポイント15項目
なぜ提出前チェックが重要なのか
施工計画書の差し戻しは、単に手間が増えるだけでなく、着工の遅れや工事成績評定の減点につながります。監督員から「記載が不十分」「根拠が不明」と指摘されると、修正・再提出のやり取りで1〜2週間を失うこともあります。
本記事では、施工計画書を提出する前に確認すべき15のチェックポイントを、形式面と内容面に分けて紹介します。なお、施工計画書の基本的な書き方は「電気設備工事の施工計画書 作成ガイド」を参照してください。
形式面のチェック(5項目)
チェック1: 表紙の記載事項
- 工事名称が契約書と一致しているか
- 受注者名(正式名称)・代表者名に誤りがないか
- 監理技術者または主任技術者の氏名・資格が正しいか
- 提出日が記載されているか
- 発注者名・監督員名が正しいか
よくあるミス: 過去の施工計画書をコピーして使い回した際に、工事名称や発注者名が前の工事のまま残っている。
チェック2: 目次と章立ての整合性
- 目次と本文の章番号・タイトルが一致しているか
- ページ番号が正しく振られているか
- 発注者が指定する章立て・順序に従っているか
チェック3: 添付図面・資料の確認
- 図面番号のリストと実際の添付図面が一致しているか
- 図面の縮尺・方位が正しいか
- 資格証明書の写しが添付されているか(有効期限内であることも確認)
チェック4: 用語・単位の統一
- 同じものを異なる名称で呼んでいないか(例: 「PF管」と「波付硬質合成樹脂管」の混在)
- 単位の表記が統一されているか(例: 「m」と「メートル」、「MΩ」と「メガオーム」)
- 図表番号の振り方が統一されているか
チェック5: 誤字脱字・変換ミス
- 専門用語の変換ミスがないか(例: 「感電」→「完全」、「配管」→「排管」)
- 数値の桁間違いがないか
- 会社名・人名の誤記がないか
内容面のチェック(10項目)
チェック6: 工事概要の正確性
- 契約金額、工期、工事場所が契約書と一致しているか
- 電気設備の種別(受変電・幹線・電灯・通信・防災等)が漏れなく記載されているか
- 設計図書の図面番号一覧が正しいか
チェック7: 施工体制の要件充足
- 監理技術者/主任技術者の資格が工事規模に適合しているか
- 専任義務のある工事で、技術者が他の現場と兼任になっていないか
- 配置する電気工事士の人数・資格が法令要件を満たしているか
- 下請業者がある場合、施工体制台帳の記載と整合しているか
チェック8: 工程表の実現性
- 他工種(建築・空調・衛生)の工程と整合しているか
- 受電日が電力会社との調整結果と一致しているか
- 消防検査の日程が確保されているか
- 資材の納期を考慮した発注時期になっているか
- 天候リスク(梅雨・台風)を考慮しているか
工程表の詳細は「施工計画書に添付する工程表の作り方」で解説しています。
チェック9: 施工方法の具体性
- 各工種の施工手順が「誰が・何を・どのように」のレベルで記載されているか
- 使用する材料の仕様(メーカー・型番)が明記されているか
- 施工図・詳細図が添付されているか
- 「安全に留意する」「十分に注意する」等の抽象的な記述がないか
チェック10: 品質管理計画の網羅性
- 工種ごとの管理項目・判定基準が漏れなく記載されているか
- 管理値の根拠(法令・規格名)が明記されているか
- 使用する計測器の情報(型番・校正有効期限)が記載されているか
- 不合格時の処置手順が記載されているか
品質管理計画の詳細は「施工計画書の品質管理計画の書き方」で解説しています。
チェック11: 安全衛生計画の実効性
- リスクアセスメントの結果が記載されているか
- 感電防止対策(停電作業手順、活線近接の離隔距離)が具体的か
- 高所作業の墜落防止対策が記載されているか
- 酸欠危険作業がある場合、対策が記載されているか
- 緊急連絡先一覧、緊急時対応手順が記載されているか
安全衛生計画の詳細は「施工計画書の安全衛生計画 書き方のポイント」で解説しています。
チェック12: 環境対策の記載
- 騒音・振動の対策が記載されているか(特に住宅地近接の場合)
- 建設廃棄物の処理方法・処分先が記載されているか
- アスベスト含有材の有無の事前調査結果が記載されているか(改修工事の場合)
チェック13: 工事写真撮影計画
- 撮影必須ポイントが工種別に整理されているか
- 隠蔽部分の撮影タイミングが工程表と整合しているか
- 黒板の記載ルール(書式・記載項目)が定められているか
チェック14: 設計図書との整合性
- 施工計画書の記載内容が設計図書(図面・仕様書)と矛盾していないか
- 設計図書に記載された特記事項が施工計画書に反映されているか
- 「特記なき場合は共通仕様書による」等の前提条件が明確か
チェック15: 前回指摘事項の反映
- 前回の施工計画書で指摘を受けた事項が、今回の計画書に反映されているか
- 同じ発注者の過去の工事で受けた指摘事項をチェックしたか
効率的なレビュー体制
ダブルチェックの仕組み
施工計画書は、作成者とは別の人物がレビューする体制が望ましいです。
| レビュー段階 | レビュー者 | チェック観点 |
|---|---|---|
| 1次チェック | 作成者本人 | 形式面(チェック1〜5) |
| 2次チェック | 上司・先輩技術者 | 内容面(チェック6〜15) |
| 最終確認 | 監理技術者 | 全体の整合性と技術的妥当性 |
チェックリストのテンプレート活用
本記事の15項目をExcelやスプレッドシートにまとめ、案件ごとにチェック結果を記録することで、レビューの漏れを防止できます。
まとめ
施工計画書の提出前チェックは、「作成にかけた時間の10%」程度の時間を確保すれば実施できます。60時間かけて作成した施工計画書なら、6時間のチェックで差し戻しリスクを大幅に低減できると考えれば、十分な投資対効果があります。
本記事の15項目チェックリストを活用して、差し戻しゼロの施工計画書提出を目指してください。
