施工計画書の環境対策の書き方|騒音・振動・廃棄物
環境対策が施工計画書で求められる理由
施工計画書の環境対策セクションは、周辺環境への影響を最小限に抑えるための計画を記載するパートです。近年、環境配慮への社会的な要求が高まっており、工事成績評定でも環境対策の充実度が評価されるようになっています。
電気設備工事は、土木や建築工事と比べると環境への影響は小さい傾向にありますが、騒音・振動の発生、建設廃棄物の処理、既存建物の改修時のアスベスト対策など、適切な記載が必要な項目は多くあります。
騒音・振動対策
電気設備工事で騒音・振動が発生する作業
| 作業内容 | 騒音レベルの目安 | 振動の有無 |
|---|---|---|
| コンクリートコア抜き | 85〜95dB | あり |
| ハンマードリルによる穴あけ | 80〜90dB | あり |
| ケーブルラック切断(ディスクグラインダー) | 90〜100dB | 軽微 |
| 発電機の稼働 | 70〜85dB | 軽微 |
| 高所作業車のエンジン音 | 65〜80dB | なし |
記載すべき対策
騒音対策
- 低騒音型の機械・工具を優先的に使用する
- 防音シート・防音パネルの設置計画
- 作業時間の制限(早朝・夜間・休日の作業制限)
- 周辺住民への事前説明と連絡先の周知
振動対策
- 低振動型の機械を使用する
- コア抜きはウェットカッティング(湿式)を採用
- 振動が大きい作業の連続実施を避ける
記載例
本工事におけるコンクリートコア抜き作業(φ150mm、計20箇所)については、低騒音型コアドリル(○○製、騒音レベル80dB以下)を使用する。作業時間は8:30〜17:00に限定し、昼休み(12:00〜13:00)は中断する。隣接するテナントへは工事開始7日前までに作業予定を書面で通知する。
建設廃棄物の処理計画
電気設備工事で発生する主な廃棄物
| 廃棄物の種類 | 産業廃棄物の分類 | 具体例 |
|---|---|---|
| 金属くず | 産業廃棄物 | 電線の銅くず、鉄管の端材、ケーブルラックの切断片 |
| 廃プラスチック類 | 産業廃棄物 | PF管の端材、ケーブルの被覆材、梱包材 |
| がれき類 | 産業廃棄物 | コンクリートコア抜きの殻 |
| 木くず | 産業廃棄物 | ケーブルドラム(木製)、梱包材 |
| ガラスくず | 産業廃棄物 | 照明器具のガラス |
| 混合廃棄物 | 産業廃棄物 | 分別できない混合物 |
処理計画に記載すべき内容
1. 分別計画
現場での分別方法を具体的に記載します。
- 分別ボックスの設置場所と種類
- 各廃棄物の分別基準(写真付きで周知)
- 分別の責任者
2. 処分先の明記
| 廃棄物の種類 | 処分業者 | 許可番号 | 処分方法 |
|---|---|---|---|
| 金属くず | ○○リサイクル | 第○○○号 | リサイクル |
| 廃プラスチック | ○○環境サービス | 第○○○号 | 焼却 |
| がれき類 | ○○産業 | 第○○○号 | 再資源化 |
3. マニフェスト(産業廃棄物管理票)の管理
- 交付・回収のフロー
- 電子マニフェストの利用有無
- マニフェストの保管期間(5年間)
建設リサイクル法への対応
特定建設資材(コンクリート、木材等)を使用する工事で、請負代金が500万円以上の場合は、分別解体・再資源化が義務付けられます。電気設備工事単独でこの対象になることは少ないですが、建築工事全体で対象となる場合は、電気工事の廃棄物も適切に処理する必要があります。
粉じん対策
粉じんが発生する作業
- コンクリートのコア抜き・はつり作業
- 金属管・ケーブルラックの切断作業
- 既存建物の天井・壁の解体作業
対策の記載
- 湿式工法の採用(散水しながらの切断・コア抜き)
- 集じん機付き工具の使用
- 作業区画の養生(ビニールシートによる密閉)
- 作業員の防じんマスク着用
- 周辺の清掃・散水
アスベスト対策(改修工事の場合)
既存建物の改修・増設工事では、アスベスト含有材の有無を事前に調査する義務があります。
事前調査の記載
2022年4月以降、一定規模以上の工事では石綿含有建材の事前調査結果の報告が義務化されています。
| 報告が必要な工事 | 基準 |
|---|---|
| 解体工事 | 解体部分の延床面積80㎡以上 |
| 改修工事 | 請負代金額100万円以上 |
電気工事で注意すべきアスベスト含有箇所
- 天井裏の吹付材(断熱材・耐火被覆)
- 配電盤内の耐熱板
- 古い電線管の接続部(パッキン)
- エレベーターの制御盤周辺の耐火材
施工計画書には、事前調査の結果(含有の有無)と、含有が確認された場合の対策(隔離措置・湿潤化・保護具着用等)を記載します。
近隣対策
記載すべき内容
- 工事のお知らせ: 工事開始前に配布する案内文の内容と配布範囲
- 苦情対応: 苦情受付窓口と対応手順
- 車両の出入り: 搬入車両のルート、交通誘導員の配置計画
- 作業時間の遵守: 条例等で定められた作業時間の確認
記載例
工事開始14日前までに、現場周辺50m以内の住民・テナントに対し、工事概要・工期・作業時間・連絡先を記載した「工事のお知らせ」を配布する。苦情が発生した場合は、現場代理人が窓口となり、24時間以内に対応状況を報告する。
グリーン調達の記載
環境に配慮した資材の使用についても記載が求められるケースがあります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| エコケーブル | EM(エコマテリアル)ケーブルの使用 |
| LED照明 | 省エネルギー型の照明器具の採用 |
| 低VOC塗料 | 配管等の塗装に低VOC(揮発性有機化合物)製品を使用 |
| リサイクル材 | ケーブルラックの再生材使用の有無 |
まとめ
環境対策は「おまけ」のセクションではなく、施工計画書全体の品質を示す重要なパートです。騒音・振動対策、廃棄物処理計画、粉じん対策、アスベスト対策を具体的な数値と手順で記載し、環境配慮型の施工を計画していることを示しましょう。
特に改修工事ではアスベスト事前調査が法的義務となっています。電気工事であっても天井裏や壁内での作業がある場合は、必ず事前調査の結果を施工計画書に反映してください。
