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施工計画書の品質管理計画の書き方【電気設備工事編】

施工計画書の品質管理計画の書き方【電気設備工事編】

品質管理計画とは

品質管理計画は、施工計画書の中でも工事成績評定に直結する重要なセクションです。「何を」「いつ」「どのような基準で」検査し、品質を確保するかを具体的に記載します。

電気設備工事では、配線の絶縁性能・接地抵抗・照度など、数値で合否判定できる項目が多いのが特徴です。これは品質管理計画が書きやすい反面、管理値の設定根拠や測定方法を正しく記載しないと、検査時に問題になるリスクがあります。

本記事では、既存記事「電気設備工事の施工計画書 作成ガイド」で概要を紹介した品質管理計画について、さらに深掘りして解説します。

品質管理計画に記載すべき3つの柱

1. 品質管理体系図

品質管理の組織体制を図で示します。

  • 品質管理責任者: 主任技術者または監理技術者が担当
  • 品質管理担当者: 各工種の職長が担当
  • 検査実施者: 社内検査員(施工者と別の人物が望ましい)

ポイントは、施工する人と検査する人を分けること。自分で施工して自分で検査する体制では、チェックが形骸化しやすくなります。小規模な会社でも、最低限「施工担当」と「検査担当」の役割分担を明確にしましょう。

2. 品質管理項目一覧表

工種ごとの品質管理項目を一覧表にまとめます。これが品質管理計画の核です。

3. 検査・試験計画

各検査の実施時期、使用する計測器、合否判定後の処置を明確にします。

工種別の品質管理項目と判定基準

配管工事

管理項目管理値・判定基準確認方法確認時期
配管の種類・サイズ設計図書どおり目視・実測施工時
支持間隔金属管: 2m以内、PF管: 1.5m以内スケール測定施工時
配管の曲がり曲がり箇所3箇所以内、合計270°以下目視・角度測定施工時
ボックスの取付高さ設計値 ±10mmスケール測定施工時
管端処理バリ取り・ブッシング取付完了目視施工時

配線工事

管理項目管理値・判定基準確認方法確認時期
ケーブルの種類・サイズ設計図書どおり表示確認配線前
絶縁抵抗対地電圧150V以下: 0.1MΩ以上、300V以下: 0.2MΩ以上、300V超: 0.4MΩ以上絶縁抵抗計(500V/1000V)配線完了後
導通全回路導通ありテスター結線完了後
圧着接続圧着マーク確認、端子サイズ適合目視接続時
色別表示L1:赤 L2:白 L3:青 N:黒 E:緑目視結線時

接地工事

管理項目管理値・判定基準確認方法確認時期
接地抵抗値A種: 10Ω以下、B種: 計算値以下、C種: 10Ω以下(500V以上)、D種: 100Ω以下接地抵抗計埋設前
接地極の埋設深さ750mm以上スケール測定埋設時
接地線の種類・サイズ設計図書どおり(A種: 5.5sq以上)目視・表示確認施工時
接地線の保護地上600mm〜地下750mmの区間を保護管で被覆目視埋設前

受変電設備

管理項目管理値・判定基準確認方法確認時期
据付水平度±3mm/m以内水準器据付時
アンカーボルトの締付トルク値:設計値どおりトルクレンチ据付時
耐電圧試験最大使用電圧×1.5倍で10分間異常なし耐電圧試験器据付完了後
保護協調リレー整定値が協調図どおり試験器受電前

照明設備

管理項目管理値・判定基準確認方法確認時期
器具の取付位置設計値 ±20mmスケール測定取付時
照度設計照度の90%以上照度計(JIS C 1609準拠)器具点灯後
調光制御設計どおりの動作動作確認竣工前

管理値の設定根拠を明記する

品質管理計画で最も重要なのは、なぜその管理値なのかの根拠を示すことです。

よくある不備

❌ 「絶縁抵抗: 0.1MΩ以上」

これだけでは根拠が分かりません。

正しい記載例

✅ 「絶縁抵抗: 0.1MΩ以上
    根拠:電気設備技術基準の解釈 第14条
    対地電圧150V以下の回路に適用
    使用計測器:絶縁抵抗計(500V メガー)○○製 型番○○
    校正有効期限:20XX年XX月XX日」

このように、法令・規格の根拠適用条件使用計測器の情報まで記載すると、検査時の信頼性が格段に上がります。

計測器管理の記載

品質管理で使用する計測器の管理方法も記載が必要です。

計測器管理台帳の項目

計測器名型番管理番号校正有効期限校正実施機関
絶縁抵抗計○○-○○M-0012027/03/31○○計測器サービス
接地抵抗計○○-○○M-0022027/06/30メーカー校正
照度計○○-○○M-0032027/01/31○○計測器サービス
トルクレンチ○○-○○M-0042026/12/31○○工具サービス

注意: 校正有効期限が切れた計測器で測定した結果は無効です。施工計画書に計測器の校正管理計画を含めておくことで、検査時のトラブルを防止できます。

不合格時の処置フロー

品質管理計画には、検査で不合格となった場合の処置手順も記載します。

不合格発生 → 原因調査 → 是正処置の立案 → 是正処置の実施
    → 再検査 → 合格確認 → 記録・報告

電気設備工事で不合格が発生しやすい項目と、一般的な原因・対策は以下のとおりです。

不合格項目よくある原因是正処置
絶縁抵抗不良水濡れ・圧着不良・被覆損傷乾燥処理、再接続、ケーブル交換
接地抵抗超過土壌抵抗率が高い補助接地極の追加、接地極の深打ち
照度不足器具選定ミス・反射率想定違い器具追加・変更、反射板の設置
耐圧試験不合格ケーブル端末処理不良端末処理のやり直し

工事成績評定で高評価を得るコツ

品質管理計画は、工事成績評定の「施工管理」項目で評価されます。高評価を得るためのポイントは以下の3つです。

コツ1: 自主検査の充実

発注者の検査を待つだけでなく、社内の自主検査を体系的に実施することが高評価につながります。自主検査のチェックシートを作成し、検査結果を記録として残しましょう。

コツ2: デジタル記録の活用

検査結果を紙の記録だけでなく、デジタルデータとしても保管します。測定値のトレンドをグラフ化できれば、品質管理の継続的改善をアピールできます。

コツ3: 是正事例の蓄積

過去の不合格事例と是正処置の記録を蓄積し、予防処置として施工計画書に反映させます。「過去にこういう問題が起きたので、今回はこう対策する」という記載は、経験に裏打ちされた品質管理として高く評価されます。

まとめ

品質管理計画は、管理項目と判定基準を並べるだけの書類ではありません。管理値の根拠、計測器の管理、不合格時の処置フローまで含めて初めて、実効性のある品質管理計画になります。

本記事の管理項目一覧表をベースに、自社の工事内容に合わせた品質管理計画を作成してみてください。

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