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電気設備工事の施工計画書作成をAIで効率化する手順|プロンプト付き

電気設備工事の施工計画書作成をAIで効率化する手順|プロンプト付き

電気設備工事の施工計画書作成がなぜ時間を奪うのか

電気設備工事の施工計画書は、1件あたり40〜80時間かかるのが一般的です。中規模の学校改修や公共施設の電気設備更新では、100時間を超えるケースも珍しくありません。

時間を奪う要因は大きく分けて3つあります。

  • 項目が多い:総合仮設計画、安全衛生、品質管理、環境対策、工程管理など、カバーすべき章が20〜30章に及ぶ
  • 電気設備特有の配慮事項が多い:停電作業、活線近接、仮設電源、既設設備との取り合いなど、工事ごとに細かく書き分ける
  • 属人化している:会社のベテラン2〜3名しか全章を書ききれず、若手に任せられない

この状況にChatGPTやGeminiなどの汎用AIを組み合わせると、骨子作成〜下書き完成までを1/3〜1/5の時間に短縮できる可能性があります。本記事では、電気設備工事に特化した施工計画書作成の具体手順を4ステップで解説します。

施工計画書そのものの基本構成は、施工計画書の書き方|電気設備工事もあわせてご覧ください。

AIで効率化できる工程・できない工程

最初に押さえておきたいのが、AIで効率化できる工程とそうでない工程の切り分けです。何でもAIに任せようとすると、かえって品質が落ちるリスクがあります。

AIで効率化できる工程

  • 章立て・目次の組み立て
  • 既存計画書を参考にした記述スタイルの揃え方
  • 安全管理・環境対策など、表現の定型部分
  • 工事概要・工程表の文章化
  • チェックリスト形式への変換

AIに任せてはいけない工程

  • 数値計算(負荷容量、短絡電流、絶縁抵抗の目標値など)
  • 関係法令の条文引用(電気設備技術基準、労働安全衛生法は必ず人が確認)
  • 発注者固有の特記仕様書の解釈
  • 現場条件を踏まえた施工方法の最終判断

AIは「文章のたたき台作成器」と割り切り、判断と検算は人が行う前提で使ってください。鵜呑みにした際のリスクは、電気工事のAI活用でよくある失敗5選でも解説しています。

ステップ1:過去の優良計画書から骨子パターンを抽出する

AIに良い出力をさせるコツは、自社の過去の優良計画書を1〜2本用意し、そのパターンをAIに学習させることです。いきなり白紙から生成させると、汎用的すぎる内容しか出てきません。

骨子抽出用のプロンプト例

あなたは電気設備工事のベテラン現場代理人です。
以下は、当社が過去に高評価を得た施工計画書の目次です。
この目次の構成パターンを分析し、次の観点で整理してください。

1. 大章→中章の階層構造
2. 各章で必ず触れるべき要点
3. 電気設備工事ならではの記述が必要な章

【過去計画書の目次】
(ここに過去の目次を貼り付け)

この出力を社内の「骨子パターン集」として保存しておくと、次回以降のプロジェクトで再利用できます。1度作れば、2回目以降は一気に時短が効きます

優良計画書を用意できない場合

過去の計画書の精度に自信がないときは、工事成績評定で高得点を得た他社の公開資料(自治体のサイトに掲載されていることがあります)を参考にする手もあります。ただし、丸写しではなく構成パターンの学習に留める点は押さえてください。

ステップ2:工事概要を入れて骨子を生成する

骨子パターンが手元に揃ったら、次は具体的な工事概要を投入して、目の前の案件用の骨子を生成します。

骨子生成用のプロンプト例

あなたは電気設備工事の現場代理人として、施工計画書の骨子を作成します。
以下の骨子パターンと工事概要に基づき、本工事用の章立てと
各章で書くべき要点を箇条書きで出力してください。

【骨子パターン】
(ステップ1で抽出した構成パターンを貼り付け)

【工事概要】
- 工事名: ○○市立中央公民館 電気設備更新工事
- 工期: 2026年6月1日〜8月31日(90日間)
- 工事内容: 既設蛍光灯200台のLED化、分電盤2面更新、屋外配電設備更新
- 特記事項:
  - 公民館を使用しながらの工事
  - 日中の停電は原則不可(休館日・夜間のみ許可)
  - 既設設備の一部は石綿含有の可能性あり
- 発注者: ○○市役所建築課
- 契約種別: 総合評価方式・一般競争入札

この出力が、そのまま施工計画書の「目次+各章の要点メモ」になります。ここまででおよそ30分〜1時間。従来の骨子作成10〜20時間が、数分のプロンプト調整に置き換わるイメージです。

ステップ3:電気設備特有の項目を肉付けする

骨子ができたら、電気設備工事ならではの項目をAIに肉付けさせます。ここがポイントで、章ごとに個別のプロンプトに分けると、品質が大きく上がります。

章ごとの肉付けプロンプト例(仮設電源計画)

施工計画書の「仮設電源計画」の章を、以下の条件で350字程度で作成してください。

【前提条件】
- 既存建物内の分電盤から仮設電源を分岐
- 溶接機、切断機、工具類で想定総容量は30kVA
- 仮設分電盤には漏電遮断器を設置
- 夜間工事あり(仮設照明が必要)

【記述観点】
- 電源確保の方法(既設盤からの分岐方法)
- 容量計算の考え方(詳細数値はここでは省略)
- 仮設分電盤の構成と保護協調
- 活線近接作業となる場合の安全措置
- 工事完了時の復旧手順

文体は「〜する」「〜とする」の書き切り調で統一してください。

効率的に進める章の順序

  1. 安全衛生計画(感電防止、活線近接、停電作業の3点を必ず含む)
  2. 仮設電源計画
  3. 既設設備との取り合い
  4. 品質管理計画(絶縁抵抗測定、接地抵抗測定、絶縁耐力試験)
  5. 工程管理計画(停電可能日と作業段取り)
  6. 環境対策(騒音、振動、粉塵、廃棄物)
  7. 緊急時対応

この順で進めると、先の章の条件が後の章に自然と引き継がれ、章同士の矛盾が生まれにくくなります。

感電防止計画書は章の重要度が特に高いため、感電防止計画書をAIで下書きする方法に別記事としてまとめています。

ステップ4:レビューと品質チェックの型を決める

AIが生成した下書きは、必ず3段階のレビューを通してから提出版に仕上げます。

レビューの3段階

段階担当チェック観点
1次作成者(若手可)章立ての漏れ、事実関係、数値の整合性
2次電気主任技術者・現場代理人電気設備技術基準への適合、現場条件の反映
3次営業・品質管理責任者発注者への見せ方、特記仕様書の反映

チェックリスト例(電気設備工事版)

  • 停電作業の日程と範囲が発注者と合意できているか
  • 活線近接作業が発生する箇所に、具体的な安全措置が書かれているか
  • 既設設備の更新範囲と撤去方法が明示されているか
  • 絶縁抵抗・接地抵抗の測定計画(回路数、目標値)があるか
  • 建物利用者への周知方法(掲示、広報)が定められているか
  • 石綿含有の可能性がある場合、事前調査の記述があるか

このチェックリストをAIに食わせて、「この観点で抜け漏れを指摘してください」と投げると、レビュー補助としても使えます。

さらに短縮するコツと、やってはいけないこと

時短が進むコツ

  • プロンプトをテンプレ化:工事種別ごとに、ステップ2・3のプロンプトを型として保存
  • 過去案件のメタデータ化:過去の計画書を「工事種別」「発注者種別」「工期」で分類しておく
  • 若手に任せられる部分から切り出す:骨子生成はAI+若手、肉付けの一部もAI+若手、電気設備固有の判断のみベテラン

やってはいけないこと

  • 発注者名・金額・個人情報を無料版の汎用AIに貼り付ける
  • AIの計算結果を検算せずに採用する
  • 法令条文をAIの出力のまま引用する(条文番号や改正状況が古い場合あり)
  • 「過去案件そっくり」の文体をAIに強制させる(発覚時に体裁を失う)

情報管理ルール・運用体制の整え方は中小電気工事会社のAI導入ステップに整理していますので、導入前に一度お目通しください。

まとめ

電気設備工事の施工計画書作成は、AIを使えば40〜80時間が20〜30時間まで短縮できる可能性があります。ただし、丸投げでは品質が下がります。「骨子抽出→骨子生成→章ごとの肉付け→3段階レビュー」という流れを社内で型にすることが、実務での時短と品質の両立につながります。

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