LED照明の照度計算の方法と設計のポイント
照度計算が必要な理由
照明設計において照度計算は、必要な明るさを確保するために照明器具の台数と配置を決定するための基本作業です。照度が不足すると作業環境が悪化し、逆に過剰な照度はエネルギーの無駄になります。
JIS Z 9110(照度基準総則)では、建物の用途や作業内容に応じた推奨照度が定められており、この基準を満たす照明設計を行うことが求められます。
JIS Z 9110の推奨照度
事務所・オフィス
| 場所・作業 | 推奨照度(lx) |
|---|---|
| 事務室 | 750 |
| 設計室・製図室 | 750 |
| 会議室 | 500 |
| 受付 | 300 |
| 廊下・通路 | 100 |
| 階段 | 150 |
| トイレ | 200 |
| 倉庫 | 100 |
工場・作業場
| 場所・作業 | 推奨照度(lx) |
|---|---|
| 精密作業 | 750 |
| 一般作業 | 300 |
| 粗い作業 | 150 |
| 倉庫 | 100 |
| 屋外作業場 | 50〜100 |
学校・病院
| 場所 | 推奨照度(lx) |
|---|---|
| 教室 | 500 |
| 図書室 | 500 |
| 体育館 | 300 |
| 診察室 | 500 |
| 病室 | 100 |
| 手術室 | 1,000〜20,000 |
照度計算の方法(光束法)
最も一般的な照度計算方法は光束法です。部屋全体の平均照度を求める方法で、以下の計算式を用います。
計算式
N = E × A ÷ (F × U × M)
| 記号 | 意味 | 単位 |
|---|---|---|
| N | 必要な照明器具の台数 | 台 |
| E | 目標照度 | lx(ルクス) |
| A | 部屋の面積 | m² |
| F | 1台あたりの光束 | lm(ルーメン) |
| U | 照明率 | —(0〜1の係数) |
| M | 保守率 | —(0〜1の係数) |
計算例
以下の条件で事務室の照明台数を計算します。
| 条件 | 値 |
|---|---|
| 部屋の広さ | 10m × 8m = 80m² |
| 天井高 | 2.7m |
| 目標照度 | 750lx |
| 使用器具 | LED一体型ベースライト(40W形2灯相当) |
| 器具の光束 | 6,900lm |
| 照明率 | 0.65 |
| 保守率 | 0.85 |
N = 750 × 80 ÷ (6,900 × 0.65 × 0.85)
N = 60,000 ÷ 3,812 ≒ 15.7 → 16台
この条件では、LED一体型ベースライトが16台必要という結果になります。
照明率の求め方
照明率は、照明器具から発せられた光束のうち、作業面に到達する光束の割合を示す係数です。以下の要素によって変動します。
| 影響要素 | 内容 |
|---|---|
| 室指数 | 部屋の形状と天井高から算出される係数 |
| 天井の反射率 | 天井が白い(反射率70%)ほど照明率が高い |
| 壁の反射率 | 壁が白い(反射率50%)ほど照明率が高い |
| 床の反射率 | 床の色(反射率10〜30%) |
| 器具の配光 | 直接照明型は照明率が高い |
室指数の計算
室指数 = X × Y ÷ [H × (X + Y)]
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| X | 部屋の間口(m) |
| Y | 部屋の奥行(m) |
| H | 光源から作業面までの高さ(m) |
室指数と照明器具メーカーが提供する照明率表を照らし合わせて、照明率を読み取ります。
保守率の設定
保守率は、時間の経過とともに照度が低下する要因を考慮する係数です。
| 低下要因 | 内容 |
|---|---|
| 光源の光束減退 | LEDは点灯時間に伴い光束が徐々に減少 |
| 器具の汚れ | ほこりの付着による透過率・反射率の低下 |
| 室内面の汚れ | 天井・壁の汚れによる反射率の低下 |
LED照明の保守率の目安は以下のとおりです。
| 使用環境 | 保守率の目安 |
|---|---|
| 清浄な環境(事務所等) | 0.85 |
| 普通の環境(店舗等) | 0.75 |
| 汚れやすい環境(工場等) | 0.65 |
LED照明は従来の蛍光灯と比較して光束減退が少ないため、保守率を高く設定できるのが利点です。
LED照明の省エネ設計のポイント
調光制御
| 制御方式 | 内容 | 省エネ効果 |
|---|---|---|
| 明るさセンサー制御 | 外光に応じて自動調光 | 20〜40%削減 |
| 人感センサー制御 | 不在時に消灯または減光 | 30〜50%削減 |
| タイムスケジュール制御 | 時間帯に応じて照度を変更 | 10〜20%削減 |
| タスク・アンビエント照明 | 全般照明と手元照明を併用 | 20〜30%削減 |
器具選定の注意点
| 検討項目 | ポイント |
|---|---|
| 固有エネルギー消費効率 | lm/W値が高い器具を選定(目安: 130lm/W以上) |
| 演色性 | Ra80以上が標準、美術館等はRa90以上 |
| 色温度 | 事務所は5,000K(昼白色)、飲食店は3,000K(電球色)が一般的 |
| グレア | 直接目に入る輝度を抑えた配光の器具を選定 |
| 寿命 | 40,000〜60,000時間が標準的 |
照度計算ソフトの活用
手計算に加え、照明メーカーが提供する照度計算ソフトを活用することで、より精密な設計が可能です。
| メーカー | ソフト名 | 特徴 |
|---|---|---|
| パナソニック | 照明設計サポートツール | Web上で3D照度分布を確認可能 |
| 東芝ライテック | E-Calcs | 簡易計算から詳細計算まで対応 |
| 三菱電機 | 照明設計支援ツール | BIMデータとの連携が可能 |
| コイズミ照明 | 照度計算シミュレーション | 住宅向けに特化した操作性 |
これらのソフトは無料で利用でき、器具の選定から配置シミュレーションまで一貫して行えます。
まとめ
LED照明の照度計算は、光束法の基本を理解した上で、照明率と保守率の適切な設定が重要です。JIS基準の推奨照度を満たしつつ、調光制御や高効率器具の選定で省エネを両立する設計を目指しましょう。
照明設計は内線規程のポイントに基づく配線設計と密接に関わります。また、BIMの活用によって照明配置の検討がより効率的に行える時代になっています。
