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ChatGPTの情報漏洩を防ぐ社内ルール|電気工事会社の線引き

ChatGPTの情報漏洩を防ぐ社内ルール|電気工事会社の線引き

ChatGPTなどの生成AI(文章や画像を自動で作るAIのこと)からの情報漏洩は、①入力した内容がAIの学習に使われる、②共有リンクで第三者に見られる、③アカウントを乗っ取られて履歴を読まれる、④会社が把握していない個人アカウントで業務データを扱うの4つの経路で起こります。防ぐには、使ってよいサービスとプランを会社が決め、入力してよい情報の線引きを文書にすることが出発点です。

IPA(情報処理推進機構)の「情報セキュリティ10大脅威 2026」組織編では、「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が初めて選ばれ、3位に入りました。この記事は、電気工事会社が扱う図面や名簿に即して、その線引きを具体的にします。

ChatGPTの登録手順や基本の使い方はChatGPTの始め方の記事、現場での活用場面は電気工事でChatGPTを使う5つの場面で扱っています。

公的機関は何と言っているか

個人情報保護委員会の注意喚起(令和5年6月2日)

個人情報保護委員会は「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」で、事業者に次の点を求めています。

  • 個人情報を含むプロンプト(AIへの指示文)を入力する場合は、利用目的を達成するために必要な範囲内であることを十分に確認する
  • 本人の同意なく個人データを入力し、それが応答の出力以外の目的で扱われる場合は、個人情報保護法の規定に違反する可能性がある。そのため、提供事業者が個人データを機械学習に利用しないこと等を十分に確認する

IPAのガイドライン

IPAの「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン 第4.0版」は、生成AIに社内機密や個人情報を入力すると外部に流出する可能性があり、提供側がデータを学習に使う場合は意図しない拡散につながる懸念があるとして、次の4点を挙げています。

  1. 利用規約やプライバシーポリシーを事前に確認し、データの取り扱い方針を把握する
  2. 機密性の高い情報や個人情報など、外部に漏れると問題になるデータはAIサービスに入力しない
  3. 生成された成果物は必ず人が確認し、正確性や法的リスクをチェックする
  4. AIの出力をそのまま使うのではなく、補助的なツールとして活用する

漏れる4つの経路と対策

経路起こること対策
学習への利用入力内容が提供会社のモデル改善に使われる法人向けプランを使う。個人向けプランなら学習に使わない設定を確認する
共有リンク会話の共有リンクを知った人が誰でも読める共有リンクの作成を原則禁止し、作った場合は削除する
アカウント乗っ取り過去の会話履歴がすべて読まれる多要素認証を設定し、パスワードを使い回さない
個人利用(シャドーAI)会社が知らない個人アカウントに業務データが残る使ってよいサービスを会社が決め、個人アカウントでの業務利用を禁止する

シャドーAIとは、会社が許可していないAIサービスを従業員が個人的に業務で使うことです。

ChatGPTの設定とプランの違い

OpenAIのヘルプ(2026年10月時点)によると、個人向けのFree・Plus・Proでは、入力した内容がモデルの学習に使われる場合があり、設定の「データコントロール」にある「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにすると、新しい会話は学習に使われなくなります。ただし、回答に高評価・低評価のフィードバックを送ると、その会話全体が学習に使われる場合があるとされています。

法人向けのChatGPT Business・Enterprise、APIについては、OpenAIは初期設定では入力・出力をモデルの改善に使わないとしています。また、個人アカウントで作った共有リンクは、リンクを知っていれば誰でも見られる仕組みです。

提供会社の方針や画面の表示は変わることがあるため、導入時と年1回は、規約と設定を担当者が確認して記録しておきましょう。他の生成AIサービスを使う場合も、同じ観点で比べます。

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電気工事会社の情報をどう線引きするか

電気工事会社が扱う情報を、生成AIに入力してよいかで3段階に分けた例です。自社の契約や発注者との取り決めに合わせて調整してください。

区分例扱い
入力しない作業員名簿・健康診断の情報、顧客の個人情報、入札金額・原価、発注者が秘密とした図面、受変電設備の配置図や警備・入館の情報、パスワード法人向けプランでも入力しない
加工すれば入力してよい施工計画書の文章、報告書の下書き、見積の項目構成発注者名・現場名・金額・人名を「A社」「B現場」などに置き換える
入力してよい公開されている法令・規格の一般的な質問、社内研修の資料作り、社外向けの挨拶文そのまま可。ただし出力は人が確認する

電気工事で特に注意したいもの

  • 単線結線図・機器配置図: 工場、病院、データセンターなどの受電容量や設備構成が分かる資料は、発注者にとって施設の弱点そのものです。画像として読み込ませる場合も同じ扱いにします。
  • 協力会社の作業員名簿: 安全書類の名簿には氏名や生年月日などの個人情報が含まれます。名簿の整形をAIに任せたくなる場面ですが、個人データの入力にあたります。
  • 入札・見積の金額: 競争上の秘密です。積算の考え方の相談は、金額を外して行います。
  • 遠隔監視の設定情報: 監視装置のIPアドレスやログイン情報は入力しません。

【独自】そのまま使える社内ルールのひな形

  1. 業務で使ってよい生成AIは、会社が指定したサービスと会社のアカウントに限る
  2. 個人のアカウント・個人のスマホのアプリで、業務の情報を入力しない
  3. 個人情報、入札・見積の金額、発注者が秘密とした図面、受変電設備の配置や警備・入館の情報、パスワードは入力しない
  4. 文章を入力するときは、発注者名・現場名・人名・金額を置き換える
  5. 会話の共有リンクは作らない。作った場合は用が済んだら削除する
  6. アカウントには多要素認証を設定する
  7. AIの出力は下書きとして扱い、法令・仕様書との照合と最終判断は人が行う
  8. 入力してはいけない情報を入れてしまったら、すぐに管理者へ報告する
  9. 管理者は年1回、利用中のサービスの規約と設定を確認し、記録する

ルールの運用でつまずきやすい点(社員が使わない、ツールが乱立する等)はAI活用でよくある失敗5選で解説しています。

入れてしまったときの対応

  • 該当の会話を削除し、共有リンクを作っていれば削除する
  • 何を入力したか(個人情報の有無、発注者の秘密情報か)を管理者が確認する
  • 個人データが含まれ、漏えいのおそれがある場合は、報告義務の対象かを確認する(情報漏洩の原因と対策の記事参照)
  • 発注者との契約で秘密保持の定めがあれば、契約に沿って対応を相談する

まとめ

ChatGPTの情報漏洩は、学習への利用、共有リンク、アカウント乗っ取り、個人利用の4つの経路で起こります。使ってよいサービスとプランを会社が決め、単線結線図や作業員名簿、入札金額など電気工事会社ならではの情報について「入力しない」「加工すれば可」「入力してよい」の線引きを文書にしておくことが、便利さと安全を両立させる近道です。

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出典・参考

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