施工計画書約10分で読めます
施工計画書の作成を効率化するツール比較5選
施工計画書の作成にはなぜ時間がかかるのか
施工計画書の作成に、ベテラン技術者でも1件あたり40〜80時間を要するのは珍しいことではありません。その原因は主に以下の3つです。
- 毎回ゼロに近い状態から書き始める: 過去の計画書をコピーしても、現場条件に合わせた修正に大量の時間がかかる
- 記載項目が多い: 工事概要、工程表、施工方法、安全管理、品質管理、環境対策…と多岐にわたる
- 法令・規格の確認が必要: 管理値の根拠となる法令・基準の確認に手間がかかる
こうした課題を解決するために、さまざまなツール・サービスが登場しています。本記事では5つのタイプを比較します。
タイプ別の比較
タイプ1: テンプレート販売サイト
過去の施工計画書のひな形をExcel/Word形式で販売するサービスです。
代表的なサービス
- 施工屋ドットコム
- 現場ファーストドットコム
特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 価格帯 | 1テンプレート1,000〜5,000円程度 |
| 形式 | Excel/Word(編集可能) |
| 工種カバー | 電気設備、建築、土木など幅広い |
| カスタマイズ性 | ファイルを直接編集するため自由度が高い |
メリット
- 初期費用が安い
- ベースとなる書類構成を素早く把握できる
- 自社に合わせて自由に編集できる
デメリット
- 結局、現場条件に合わせた大幅な修正が必要
- テンプレートの品質にばらつきがある
- 法令改正への追従は自社で対応が必要
向いている会社: 初めて施工計画書を作成する会社、基本構成を参考にしたい会社
タイプ2: 施工管理アプリの書類作成機能
ANDPADやSPIDERPLUSなどの施工管理アプリには、書類作成機能が含まれているものがあります。
特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 価格帯 | 月額数千円〜数万円(アプリ利用料に含まれる) |
| 形式 | アプリ内で入力・PDF出力 |
| 他機能との連携 | 工程管理・写真管理と連携できるものもある |
| カスタマイズ性 | テンプレートの編集範囲が限定的な場合がある |
メリット
- 施工管理の他機能と一体で使える
- 現場の情報を書類に反映しやすい
- 複数現場のデータを一元管理できる
デメリット
- 施工計画書に特化した機能は限定的なことが多い
- 書類のフォーマット自由度が低い
- 月額コストが継続的にかかる
向いている会社: すでに施工管理アプリを導入している、または導入予定の会社
タイプ3: 書類作成代行サービス
施工計画書の作成を外部の専門業者に委託するサービスです。
特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 価格帯 | 1件10万〜50万円程度(工事規模による) |
| 納期 | 通常2〜4週間 |
| 品質 | 専門のライターが作成するため安定 |
| カスタマイズ性 | ヒアリングに基づきオーダーメイドで作成 |
メリット
- 自社の工数をほぼゼロにできる
- 専門家が作成するため品質が安定
- 繁忙期のスポット利用に適している
デメリット
- コストが高い
- 現場の細部まで外部業者が把握するのは困難
- 毎回ヒアリングが必要で、納品後の修正にも時間がかかる
- 社内にノウハウが蓄積されない
向いている会社: 繁忙期の一時的な外注先が必要な会社、高品質な施工計画書が求められる大型案件
タイプ4: AI書類作成ツール
工事概要や条件を入力すると、AIが施工計画書の骨子を自動生成するツールです。
特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 価格帯 | 月額数千円〜数万円 |
| 生成速度 | 数分〜数十分で骨子が完成 |
| 品質 | 過去データの蓄積量とAIの精度に依存 |
| カスタマイズ性 | 生成後に自由に編集可能 |
メリット
- 骨子作成の時間を劇的に短縮(ゼロ→たたき台が数分)
- 記載漏れのリスクが減る(AIが必要項目を網羅)
- 若手でも一定品質の施工計画書を作成できる
- 使うほど精度が向上するものもある
デメリット
- AIの出力をそのまま使うことはできない(人による確認・修正が必要)
- 現場固有の特殊条件はAIが把握できない
- 導入初期はAIの出力精度が低い場合がある
向いている会社: 施工計画書の作成頻度が高い会社、ベテラン不足で若手の底上げが必要な会社
タイプ5: 自社テンプレートの構築
過去の優良施工計画書をベースに、自社専用のテンプレート体系を構築する方法です。
特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 初期コスト | 人件費のみ(構築に数十〜百時間) |
| ランニングコスト | なし(法令改正時の更新コストのみ) |
| 品質 | 自社のベテランの知見が反映される |
| カスタマイズ性 | 完全に自社仕様 |
メリット
- 自社の施工スタイルに最適化されたテンプレートが作れる
- ベテランの知見が形式知として残る
- 外部コストがかからない
デメリット
- 構築に大きな初期工数がかかる
- ベテランが構築に関わる必要がある(本来業務との兼ね合い)
- 法令改正や新技術への対応が属人化しやすい
- テンプレートの管理(バージョン管理)が必要
向いている会社: 施工計画書の作成件数が多い中堅以上の会社、ベテランの退職前にノウハウを残したい会社
5タイプの比較まとめ
| タイプ | 初期コスト | 月額コスト | 作成時間短縮 | 品質安定性 | 若手活用 |
|---|---|---|---|---|---|
| テンプレート販売 | ○(安い) | なし | △(修正に時間) | △ | △ |
| 施工管理アプリ | △ | △ | ○ | ○ | ○ |
| 代行サービス | ×(高い) | 案件ごと | ◎(自社工数ゼロ) | ◎ | × |
| AI生成ツール | ○ | ○ | ◎ | ○ | ◎ |
| 自社テンプレート | △(工数大) | なし | ○ | ◎ | ○ |
選び方のポイント
年間の施工計画書作成件数で選ぶ
| 作成件数 | おすすめ |
|---|---|
| 年3件以下 | テンプレート販売 or 代行サービス |
| 年4〜10件 | AI生成ツール or 自社テンプレート |
| 年10件以上 | AI生成ツール + 自社テンプレートの組み合わせ |
社内のリソースで選ぶ
- ベテランが多い会社: 自社テンプレートの構築がおすすめ。ノウハウの形式知化も同時に実現
- 若手中心の会社: AI生成ツールがおすすめ。骨子をAIが作り、若手が現場条件に合わせて修正する体制
- 人手不足で作成時間がない会社: 代行サービスで工数をゼロにし、コア業務に集中
まとめ
施工計画書の作成効率化は、一つの方法に限定する必要はありません。自社テンプレートをベースにしつつ、AIツールで骨子作成を加速し、大型案件では代行サービスを併用する、といった組み合わせが最も実践的です。
まずは自社の年間作成件数とリソースを棚卸しして、最適なアプローチを選択してみてください。
