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経営事項審査(経審)のP点を上げる7つの方法

経営事項審査(経審)のP点を上げる7つの方法

経営事項審査(経審)のP点とは

P点(総合評定値)は、経営事項審査の結果として算出される企業の総合力を示す点数です。公共工事の入札参加資格の等級格付けに直接使われるため、P点が高いほど大きな工事に参加できます。

P点の算出式は以下のとおりです。

P = 0.25×X1 + 0.15×X2 + 0.20×Y + 0.25×Z + 0.15×W

各評価項目の概要

項目正式名称配点ウェイト評価内容
X1完成工事高25%電気工事の年間売上高
X2自己資本額・平均利益額15%財務の安定性
Y経営状況分析20%8つの財務指標
Z技術職員数・元請完成工事高25%技術力
W社会性等15%社会保険・退職金制度・安全管理等

P点を上げる7つの方法

方法1: 技術者の資格取得を推進する(Z点)

Z点への影響が最も大きいのが技術職員の数と資格のレベルです。

資格加点(1人あたり)
1級電気工事施工管理技士5点
2級電気工事施工管理技士2点
第一種電気工事士2点
1級電気工事施工管理技士+監理技術者講習修了6点

最もコスパが良いのは、2級取得者を1級に引き上げることです。1人が2級→1級に合格するだけで3点の増加になります。

実践策

  • 受験費用・テキスト代の会社負担
  • 資格手当の設定(合格のインセンティブ)
  • 社内勉強会の開催(月1回、過去問演習)
  • 資格取得のロードマップを全技術者に共有

方法2: 社会保険に完全加入する(W点)

健康保険・厚生年金保険・雇用保険への加入は、W点の加点項目であるとともに、未加入は大幅な減点になります。

保険の種類加入状況影響
健康保険加入加点
健康保険未加入大幅減点(W点が大きくマイナス)
厚生年金保険加入加点
雇用保険加入加点

2020年10月以降、社会保険未加入の業者は建設業許可の更新ができないため、加入は実質的に必須です。まだ加入していない項目がある場合は、最優先で対応しましょう。

方法3: 建退共(建設業退職金共済)に加入する(W点)

建退共への加入はW点の加点対象です。公共工事では掛金の充当が求められるため、入札参加の前提条件としても重要です。

加入の手順

  1. 建退共の各都道府県支部に申し込み
  2. 共済手帳を対象労働者に配布
  3. 公共工事の受注時に掛金を購入・貼付
  4. 証紙の購入状況を記録・報告

方法4: 防災協定を締結する(W点)

自治体と災害時の応急対応に関する協定を締結すると、W点の加点対象になります。

電気工事業者の場合、以下のような防災協定が考えられます。

  • 災害時の応急的な電気設備の復旧
  • 避難所の仮設電源の設置
  • 損壊した電気設備の緊急点検

締結の手順

  1. 地元の自治体(市区町村の危機管理課・防災課)に相談
  2. 協定の内容を協議(対応範囲・連絡体制・費用負担)
  3. 協定書の締結・公表

防災協定は地域貢献の実績としてもアピールでき、指名競争入札の指名を受けやすくなるメリットもあります。

方法5: ISO認証を取得する(W点)

ISO9001(品質マネジメント)やISO14001(環境マネジメント)の認証取得はW点の加点対象です。

認証W点への影響取得コストの目安
ISO9001加点初年度50〜100万円+年間維持費
ISO14001加点初年度50〜100万円+年間維持費
両方取得さらに加点

中小企業にとってISO取得は負担が大きいですが、工事成績評定の創意工夫でも加点が見込めるため、投資対効果は悪くありません。

方法6: 完成工事高を戦略的に計上する(X1点)

X1点は完成工事高(電気工事の年間売上)に基づいて算出されます。

ポイント

  • 経審の審査基準日(決算日)を意識した工期設定・精算のタイミング
  • 2年平均と3年平均を選択できるため、有利な方を選ぶ
  • JV工事の出資比率に応じた完成工事高の計上

ただし、完成工事高の操作的な計上は粉飾決算にあたる可能性があるため、あくまで適正な範囲内での最適化にとどめましょう。

方法7: 経営状況を改善する(Y点)

Y点は8つの財務指標に基づいて算出されます。

指標内容改善の方向性
純支払利息比率借入金の負担度借入金の圧縮
負債回転期間負債の返済能力負債の圧縮、売上の増加
総資本売上総利益率資本の効率性粗利率の改善
売上高経常利益率収益性経費削減、売上増加
自己資本対固定資産比率固定資産の安全性不要な固定資産の処分
自己資本比率財務の安定性利益の蓄積
営業キャッシュフロー現金の創出力売掛金の早期回収
利益剰余金内部留保長期的な利益蓄積

すぐにできる改善策

  • 不要な借入金の繰上返済(純支払利息比率の改善)
  • 遊休資産(使っていない車両・機械)の売却(自己資本対固定資産比率の改善)
  • 売掛金の回収サイクルの短縮(営業キャッシュフローの改善)

P点改善の優先順位

優先度施策効果コスト期間
★★★社会保険の完全加入W点の大幅減点回避法定費用即時
★★★技術者の資格取得推進Z点の向上受験費用+手当半年〜1年
★★☆建退共への加入W点の加点掛金(1日310円/人)即時
★★☆防災協定の締結W点の加点+指名確率向上なし1〜3ヶ月
★☆☆ISO認証取得W点の加点初年度50〜100万円6ヶ月〜1年
★☆☆経営状況の改善Y点の向上経営努力1〜3年

まとめ

P点の向上は、一つの施策で劇的に変わるものではありません。しかし、複数の施策を組み合わせて着実に実行することで、1年で100点以上の改善も不可能ではありません。

まずは社会保険の完全加入と技術者の資格取得という「コスパの高い施策」から着手し、建退共加入、防災協定締結と段階的に取り組むのが現実的です。

入札参加資格の全体的な流れについては「公共工事の電気設備入札 初めてのガイド」も参照してください。

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