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電気設備の施工図の書き方|設計図との違いと作成手順

電気設備の施工図の書き方|設計図との違いと作成手順

施工図とは何か

施工図は、設計図の内容を実際の施工に落とし込むために、現場の寸法や他設備との取り合いを反映した図面です。設計図がクライアントの要求を図面化した「何をつくるか」を示す書類であるのに対し、施工図は「どうやってつくるか」を示す書類です。

設計図・施工図・竣工図の違い

種類作成者目的作成時期
設計図設計事務所建物の仕様・機能を示す設計段階
施工図施工業者施工方法・寸法を具体化する着工前〜施工中
竣工図施工業者実際の施工結果を記録する竣工時

施工図は設計図を元に作成しますが、設計図には具体的な配管ルート、支持金物の位置、他設備との離隔寸法などは記載されていません。これらを現場条件に合わせて詳細化するのが施工図の役割です。

電気設備の施工図の種類

主要な施工図

施工図の種類内容縮尺
配管配線図配管ルート、ボックス位置、配線経路1/50〜1/100
ケーブルラック図ラックのルート、サイズ、支持方法1/50〜1/100
幹線系統図ケーブルの種類・サイズ、分電盤の接続関係模式図
盤内結線図分電盤・制御盤の内部接続1/10〜1/20
スリーブ図躯体を貫通するスリーブの位置・サイズ1/50
機器配置図受変電設備、分電盤等の設置位置と離隔1/50〜1/100
接地極埋設図接地極の位置、埋設深さ、接地線のルート1/100

詳細図(部分詳細)

特に重要な部分は、詳細図(部分拡大図)を作成します。

  • ケーブルラックの支持金物の取付詳細
  • 壁貫通部の防火区画処理の詳細
  • 機器据付の基礎・アンカー詳細
  • ケーブルジョイント部の詳細

施工図の作成手順

ステップ1: 設計図の読み込み

設計図から以下の情報を正確に読み取ります。

  • 電気設備の配置: 受変電設備、分電盤、照明器具、コンセント等の位置
  • 配線系統: 幹線・分岐の系統と使用ケーブル
  • 特記仕様: 設計図に記載された特記事項や指定メーカー
  • 建築図との照合: 壁・天井・床の仕上げ位置、天井高、天井裏のスペース

ステップ2: 現場調査

新築の場合は建築図面を元に、改修の場合は現地で以下を確認します。

  • 天井裏のスペース(梁下の有効高さ)
  • 既設配管・ダクトの位置(改修の場合)
  • 搬入経路の確認(大型機器)
  • 建築の開口位置・サイズ

ステップ3: 他設備との調整

電気設備工事の施工図で最も重要な工程が、他設備(空調・衛生)との調整です。

天井裏のスペースは限られており、空調ダクト・配管・電気のケーブルラック・防災配管が錯綜します。各設備の施工図を重ね合わせ(総合調整図)、以下を確認します。

  • 干渉チェック: 各設備が物理的にぶつからないか
  • 離隔距離: 電気配線と水配管の離隔は原則150mm以上
  • 施工順序: どの設備を先に施工するかの優先順位
  • メンテナンス空間: 竣工後の点検・交換ができる空間の確保

ステップ4: 施工図の作図

調整結果を反映して施工図を作成します。

作図のポイント

  • 寸法は基準線(壁芯・柱芯)からの距離で記入する
  • ケーブルラックは最下段の高さ(FL基準) で表示する
  • ボックスの取付高さはFL(床仕上面)からの高さで統一する
  • 配管ルートの曲がり箇所にはプルボックスの設置を検討する
  • 凡例を明確に記載する(線種・記号の意味)

ステップ5: 承諾図の提出

施工図は作成後、監督員に提出して承諾を得ます。

  • 提出時は施工図の内容を説明する打合せを実施
  • 指摘事項は修正して再提出
  • 承諾後に施工を開始(未承諾のまま施工を進めない)

施工図作成のよくある失敗

失敗1: スリーブの位置・サイズの間違い

コンクリート躯体を貫通するスリーブは、コンクリート打設前に設置する必要があり、後からの修正は極めて困難です。スリーブ図は最も慎重にチェックすべき施工図です。

チェックポイント

  • 配管の外径+被覆厚さ+余裕を考慮したスリーブ径か
  • 梁を貫通する場合、梁の構造計算上の許容範囲内か(構造設計者の承認が必要)
  • 防火区画を貫通する場合、防火区画処理の仕様が決まっているか

失敗2: 天井裏の高さ不足

天井裏のスペースを十分に確認せず施工図を作成した結果、ケーブルラックやダクトが物理的に納まらないケースがあります。

対策: 断面図を作成し、梁下からの有効高さと各設備の必要スペースを確認する

失敗3: 盤の搬入経路の未確認

大型の分電盤や受変電設備は、完成後の搬入ができない場合があります。施工図の段階で、搬入経路(通路幅、扉の開口サイズ、エレベーターの積載)を確認しておく必要があります。

CADソフトの活用

2D CAD

AutoCADやJw_cadなどの2D CADが電気設備の施工図作成で広く使われています。電気設備専用のシンボルライブラリを整備しておくと、作図効率が上がります。

BIM(3D)

大規模プロジェクトでは、BIM(Building Information Modeling)を活用した3D施工図の作成が増えています。BIMを使えば、他設備との干渉チェックが自動的に行えるため、総合調整の精度と効率が大幅に向上します。

ただし、BIMの導入には専用ソフトのライセンス費用と操作スキルの習得が必要です。中小企業では、まず2D CADで効率化を図り、段階的にBIMへ移行するのが現実的です。

まとめ

施工図は、設計図の意図を現場で実現するための「翻訳書」です。特に電気設備工事では、他設備との調整(総合調整)が施工図の品質を大きく左右します。

スリーブ図のミスや天井裏の高さ不足は、コンクリート打設後に判明すると取り返しがつきません。施工図の段階で十分な検討とチェックを行い、手戻りのない施工を実現してください。

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