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電気設備工事の完成図書の作り方と提出の流れ

電気設備工事の完成図書の作り方と提出の流れ

完成図書とは

完成図書は、工事完了時に発注者へ提出する工事の記録と成果物をまとめた書類一式です。竣工図、試験成績書、機器の取扱説明書、工事写真帳など、建物の維持管理に必要なすべての情報を含みます。

完成図書の品質は工事成績評定に影響するだけでなく、建物の維持管理フェーズで参照される重要な資料です。特に電気設備は定期点検や改修の際に必ず参照されるため、正確で分かりやすい完成図書の作成が求められます。

電気設備工事の完成図書に含まれる書類

必須書類

書類名内容部数の目安
竣工図実際の施工結果を反映した図面原図1部+複写2部
施工図承諾済みの施工図一式1部
試験成績書各種試験・検査の結果1部
機器完成図主要機器のメーカー図面1部
取扱説明書主要機器の取扱説明書2部(管理者用+予備)
工事写真帳施工経過の写真記録1部
保証書機器・工事の保証書1部
官公庁届出書類の写し電力会社への申請書、消防届出書等1部

試験成績書に含めるべき項目

試験名対象記録内容
絶縁抵抗試験全回路回路ごとの測定値・使用計測器・判定結果
接地抵抗試験全接地極接地種別・測定値・使用計測器・判定結果
導通試験全回路回路ごとの導通確認結果
耐電圧試験受変電設備試験電圧・試験時間・判定結果
保護協調試験受変電設備リレー整定値・動作確認結果
照度測定各室測定点・測定値・設計値との比較
総合動作試験全設備各設備の連動動作確認結果
消防設備試験防災設備自火報・非常照明の動作確認結果

竣工図の作成手順

ステップ1: 施工中の記録蓄積

竣工図は施工完了後にゼロから作成するものではありません。施工中に変更点を随時記録しておくことで、完工後の作成負荷を大幅に軽減できます。

記録すべき変更は以下のとおりです。

  • 設計変更による変更箇所
  • 現場調整で変更した配管ルート
  • 機器の配置変更
  • ケーブルの種類・サイズの変更
  • 追加工事の内容

ステップ2: 赤書き(フィールドマーク)

施工図に赤ペンで変更箇所を書き込む「赤書き」を行います。これが竣工図作成のベースになります。

赤書きのルール

  • 変更した部分を赤色で記入(追加は赤実線、削除は赤×印)
  • 寸法の変更は新旧を併記(旧値に取消線、新値を赤記入)
  • 変更理由を余白に簡潔に記載
  • 記入者の氏名と日付を記載

ステップ3: CADでの清書

赤書きの内容をCADに反映し、正式な竣工図を作成します。

注意点

  • 施工図と竣工図は別ファイルとして管理する(上書きしない)
  • タイトルブロックに「竣工図」の表示と作成日を記載
  • 変更部分だけでなく、図面全体の整合性を確認する

ステップ4: チェック・承認

竣工図は作成者と別の技術者がチェックし、監理技術者が承認します。

  • 設計図書との変更点が漏れなく反映されているか
  • 寸法・記号の誤記がないか
  • 設計変更の承認記録と整合しているか

工事写真帳の編集

写真の整理基準

工事写真帳は、以下の基準で整理します。

  • 工種別に分類(受変電設備→幹線→電灯コンセント→通信→防災)
  • 各工種は施工順に並べる
  • 1ページに2〜4枚を配置
  • 各写真に撮影日・撮影箇所・施工内容を記載

デジタル写真の注意点

  • 写真データの改ざん防止(EXIF情報の保持)
  • ファイル名の命名規則の統一
  • 画像解像度の基準(長辺1,280ピクセル以上が一般的)
  • 原本データの保管(編集前の原本は必ず保管)

工事写真の撮影方法については「電気設備工事の工事写真 撮り方と整理のコツ」で詳しく解説しています。

電子納品への対応

電子納品とは

電子納品は、完成図書を電子データとして提出する方法です。国土交通省の直轄工事では電子納品が標準となっており、地方自治体でも導入が進んでいます。

電子納品のフォルダ構成

国土交通省の「電子納品要領」に基づくフォルダ構成の例を示します。

DRAWING/    図面データ
PHOTO/      工事写真
MEET/       打合せ簿
OTHRS/      その他資料
INDEX_EC.XML  管理ファイル

電子納品の注意点

  • ファイル形式: 図面はSXF形式(SFC/P21)が基本。PDFの可否は発注者に確認
  • ファイル名: 命名規則を発注者の要領に従って設定
  • 管理ファイル: XMLの管理ファイルを作成(専用ソフトが必要な場合あり)
  • ウイルスチェック: 納品前にウイルスチェックを実施し、チェック結果を添付

完成図書の提出スケジュール

完成図書は竣工検査の前に提出が必要です。逆算してスケジュールを組みましょう。

時期作業内容
竣工3ヶ月前試験成績書の作成開始、工事写真の整理開始
竣工2ヶ月前竣工図の赤書き開始
竣工1ヶ月前竣工図のCAD清書、完成図書の一次チェック
竣工2週間前完成図書の最終チェック・製本
竣工1週間前発注者への提出
竣工日竣工検査

ポイント: 完成図書の作成は施工の最終段階に集中しがちですが、試験成績書や写真の整理は施工と並行して進めるのが鉄則です。完工後にまとめて作業すると、品質低下と残業増加の原因になります。

まとめ

完成図書は、工事の品質と記録を後世に残す重要な成果物です。竣工図の赤書きは施工中に随時行い、試験成績書と写真帳は施工と並行して整備する。この習慣を身につけることで、完工直前の混乱を防ぎ、高品質な完成図書を効率的に作成できます。

電子納品が求められる案件では、早い段階でファイル形式やフォルダ構成を確認し、施工中からルールに沿ったデータ管理を行うことが重要です。

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