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電気設備の地震対策|耐震設計と事後点検
電気設備に対する地震リスク
日本は世界有数の地震大国であり、電気設備に対する地震対策は建物の安全運用に不可欠です。地震による電気設備の被害は、停電・漏電・火災など二次災害の原因になるため、事前の備えが極めて重要です。
主な地震リスクは以下のとおりです。
- キュービクルや分電盤の転倒・移動
- ケーブルラックの落下・変形
- 配管の破損によるケーブル損傷
- 接地線の断線
- 非常用発電機の燃料漏れ
電気設備の耐震設計の基本
耐震基準と関連法規
電気設備の耐震設計は、以下の基準に基づいて行われます。
| 基準・指針 | 内容 |
|---|---|
| 建築基準法 | 建物の構造耐力に関する規定 |
| 建築設備耐震設計・施工指針 | 日本建築センター発行の指針 |
| JIS C 4620 | キュービクル式高圧受電設備の規格 |
| 消防法 | 消防用設備の耐震に関する規定 |
設備ごとの耐震固定方法
キュービクル(高圧受電設備)
- 基礎ボルトによるアンカー固定
- 設計用水平震度に基づく固定力の計算
- 免震装置の採用(重要施設の場合)
- トランス内部の固定確認
分電盤・制御盤
- 壁面への堅固なアンカー固定
- 自立型の場合は床面へのボルト固定
- 扉の飛び出し防止(耐震ラッチの設置)
- 内部機器の振動対策
ケーブルラック・配線
- 支持間隔の適正化(水平1.5m以下、垂直3m以下)
- 変位吸収のための余長の確保
- 建物のエキスパンションジョイント部の対策
- 貫通部のシーリング処理
地震後の点検手順
地震発生後は、以下の手順で電気設備の安全確認を行います。
初動対応
- 人命の安全確認を最優先する
- 明らかな損傷(煙・異臭・異音)がないか目視確認する
- 損傷が確認された場合は直ちに電源を遮断する
詳細点検
地震の規模に応じて、以下の項目を確認します。
| 点検項目 | 確認内容 | 判定基準 |
|---|---|---|
| 受変電設備 | 外観損傷、油漏れ、ボルトの緩み | 目視・トルク確認 |
| 分電盤 | 扉の開閉、内部損傷 | 目視確認 |
| 配線・配管 | たるみ、脱落、損傷 | 目視確認 |
| 接地 | 接地抵抗値の確認 | 測定値の記録 |
| 絶縁 | 絶縁抵抗の測定 | 規定値以上を確認 |
BCP(事業継続計画)との連携
電気設備の地震対策は、BCPの重要な要素です。以下の点を計画に含めましょう。
- 非常用発電機の定期点検と燃料確保
- 重要設備の二重化(冗長化)
- 復旧優先順位の事前決定
- 点検要員の確保と連絡体制の整備
まとめ
電気設備の地震対策は、耐震設計による「事前の備え」と、地震後の「迅速な点検」の両輪で成り立ちます。特に重要施設の電気設備は、耐震性能を定期的に見直し、最新の基準に適合させることが求められます。
