非常用発電機の設置工事|法的要件と施工のポイント
非常用発電機が求められる建物と法的要件
非常用発電機は、火災や災害時に停電が発生した際、防災設備や重要負荷への電力供給を維持するための設備です。消防法施行令第12条では、延べ面積1,000平方メートル以上の特定防火対象物に非常電源の設置が義務づけられています。
建築基準法でも、非常用照明装置や排煙設備の電源として自家発電設備が必要とされるケースがあります。法令ごとに要求される出力容量や運転時間が異なるため、設計段階で両方の要件を確認することが重要です。
| 法令 | 対象設備 | 運転時間 | 始動時間 |
|---|---|---|---|
| 消防法 | 屋内消火栓・スプリンクラー | 60分以上 | 40秒以内 |
| 消防法 | 非常警報・排煙 | 30分以上 | 40秒以内 |
| 建築基準法 | 非常用照明 | 30分以上 | 40秒以内 |
| 建築基準法 | 排煙設備 | 30分以上 | 40秒以内 |
非常用発電機の種類と選定基準
非常用発電機にはディーゼルエンジン式とガスタービン式の2種類が主流です。
ディーゼルエンジン式は比較的安価で小型から大型まで対応可能であり、始動性に優れています。一方でガスタービン式は振動・騒音が少なく、排気ガスもクリーンなため、都市部のビルや病院で採用されるケースが増えています。
選定にあたっては、負荷容量の積み上げ計算が基本です。消防負荷と保安負荷をリストアップし、同時稼働率を考慮して必要容量を算定します。電動機負荷がある場合は始動電流による電圧降下も検討が必要です。
施工時の注意点と試運転手順
非常用発電機の設置工事では、基礎工事から燃料配管、排気管、電気配線まで多岐にわたる作業があります。
基礎は防振ゴムやスプリング防振架台を用いて振動を抑制します。排気管は断熱処理を施し、可燃物との離隔距離を確保しなければなりません。燃料タンクの設置は消防法の危険物規制に基づき、防油堤の設置や容量制限を守る必要があります。
電気配線では耐火ケーブルの使用が消防法で義務づけられています。配線ルートも他の一般配線と区分し、耐火区画の貫通部には防火措置を施します。
試運転では無負荷運転から負荷投入試験まで段階的に実施し、自動始動から切替、停電復旧後の自動停止までの一連のシーケンスを確認します。
まとめ
非常用発電機の設置工事は法的要件が複雑で、消防法と建築基準法の両方を満たす設計・施工が求められます。関連記事として施工計画書の作成ガイドや停電作業の安全対策、火災報知設備の施工もあわせてご確認ください。
