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電線・ケーブルの種類と選定方法|用途別一覧表
電線とケーブルの違い
まず基本的な用語の区別を整理します。「電線」と「ケーブル」は混同されがちですが、厳密には構造が異なります。
| 区分 | 構造 | 特徴 |
|---|---|---|
| 電線(絶縁電線) | 導体+絶縁体 | 外装(シース)がないため、管路内や碍子に敷設 |
| ケーブル | 導体+絶縁体+外装(シース) | 外装があるため、直接敷設が可能 |
実務では「電線」と「ケーブル」を厳密に区別せず、まとめて「電線」と呼ぶことも多いですが、施工方法や使用場所の制限が異なるため、選定時には正確に理解しておく必要があります。
低圧で使用する主な電線・ケーブル
絶縁電線
| 種類 | 記号 | 用途 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ビニル絶縁電線 | IV | 盤内配線、管路内配線 | 最も一般的な絶縁電線 |
| 耐熱ビニル絶縁電線 | HIV | 高温環境の配線 | 許容温度75℃ |
| ポリエチレン絶縁電線 | IC | 屋外引込線 | 耐候性に優れる |
| 引込用ビニル絶縁電線 | DV | 架空引込線 | 2心・3心がある |
ケーブル
| 種類 | 記号 | 用途 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ビニル絶縁ビニルシースケーブル平形 | VVF | 住宅・小規模施設の屋内配線 | 最も使用頻度が高い |
| ビニル絶縁ビニルシースケーブル丸形 | VVR | 幹線、屋外配線 | VVFより太い径に対応 |
| 架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル | CV | 幹線、大容量回路 | 許容電流が大きい |
| CVトリプレックス型 | CVT | 三相回路の幹線 | 3本より合わせ型 |
| エコケーブル(EM-EEF) | EM-EEF | VVFのエコ代替 | ハロゲンフリー |
| エコケーブル(EM-CE) | EM-CE | CVのエコ代替 | ハロゲンフリー |
高圧で使用するケーブル
| 種類 | 記号 | 用途 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 高圧CVケーブル | CV(6kV) | 高圧幹線、引込ケーブル | 6,600V対応 |
| 高圧CVTケーブル | CVT(6kV) | 高圧三相回路 | トリプレックス型 |
| 高圧用エコケーブル | EM-CET | 高圧幹線 | 環境配慮型 |
高圧ケーブルは受変電設備の引込部分から高圧盤まで使用されます。端末処理(ストレスコーンやゴムモールド形端末処理材の施工)が重要で、不適切な施工は地絡事故の原因になります。
ケーブル選定の手順
電線・ケーブルを選定する際は、以下の手順で進めます。
手順1: 使用電圧の確認
| 使用電圧 | 選定するケーブル |
|---|---|
| 100V/200V(低圧) | VVF、CV、CVT等 |
| 6,600V(高圧) | 6kV CV、6kV CVT等 |
手順2: 許容電流の確認
負荷電流を計算し、その値以上の許容電流を持つケーブルサイズを選定します。
VVFケーブルの許容電流(周囲温度30℃):
| サイズ | 2心 | 3心 |
|---|---|---|
| 1.6mm | 19A | 17A |
| 2.0mm | 24A | 21A |
| 2.6mm | 33A | 28A |
CVケーブルの許容電流(気中敷設・周囲温度40℃):
| サイズ | 単心 | 3心一括 |
|---|---|---|
| 2mm² | 29A | 23A |
| 3.5mm² | 39A | 31A |
| 5.5mm² | 49A | 40A |
| 8mm² | 61A | 49A |
| 14mm² | 82A | 67A |
| 22mm² | 107A | 88A |
| 38mm² | 143A | 117A |
| 60mm² | 186A | 153A |
手順3: 電圧降下の計算
内線規程で定められた電圧降下の制限値以内であることを確認します。電圧降下が大きい場合は、ケーブルサイズを1ランク上げて対応します。
手順4: 環境条件の確認
| 環境条件 | 考慮事項 |
|---|---|
| 高温環境 | 許容電流の低減率を適用 |
| 多条敷設 | 電流減少係数を適用 |
| 直埋敷設 | 埋設用ケーブルを選定 |
| 可動部分 | キャブタイヤケーブルを使用 |
| 防災回路 | 耐火・耐熱ケーブルを使用 |
エコケーブル(EM電線)の普及
近年、環境配慮の観点からエコケーブル(EM電線)の採用が進んでいます。
| 比較項目 | 従来ケーブル(VVF等) | エコケーブル(EM-EEF等) |
|---|---|---|
| シース材料 | ビニル(PVC) | ポリエチレン系 |
| 燃焼時の有害ガス | 塩化水素を発生 | ハロゲンフリー(有害ガスなし) |
| リサイクル性 | 低い | 高い |
| 価格 | 安い | やや高い |
| 施工性 | 良好 | 硬くてやや施工しにくい |
公共建築物や大規模施設では、グリーン購入法の対象としてエコケーブルの採用が標準になりつつあります。
耐火・耐熱ケーブル
防災設備の配線には、消防法に基づき耐火ケーブルまたは耐熱ケーブルを使用します。
| 種類 | 記号 | 耐火時間 | 用途 |
|---|---|---|---|
| 耐火ケーブル | FP | 30分(830℃) | 非常用照明、消火栓ポンプ |
| 耐熱ケーブル | HP | 15分(380℃) | 自動火災報知設備、誘導灯 |
自動火災報知設備の施工では、耐熱ケーブルの選定が重要なポイントになります。
ケーブルの保管と取り扱い
| 注意事項 | 理由 |
|---|---|
| 直射日光を避ける | 紫外線による絶縁体の劣化 |
| 湿気の少ない場所に保管 | 吸湿による絶縁性能の低下 |
| ドラムは立てて保管 | 転がり防止、ケーブルの変形防止 |
| 最小曲げ半径を守る | 絶縁体のひび割れ防止 |
| 端末をキャップで保護 | 水分や異物の侵入防止 |
まとめ
電線・ケーブルの選定は、使用電圧、許容電流、電圧降下、環境条件の4つの要素を総合的に判断して行います。近年はエコケーブルの採用が増えており、材料の特性を理解した施工が求められます。
分電盤の設計と合わせて検討することで、安全で効率的な配線システムを構築できます。
