内線規程の押さえるべきポイント【電気工事士向け】
内線規程(JEAC8001)とは
内線規程は、日本電気協会が定める需要場所(ユーザー側)の電気設備に関する技術基準です。正式名称は「JEAC8001」で、電気設備技術基準や電技解釈を補完する、より具体的な施工基準を示しています。
法的な強制力はありませんが、各電力会社の供給約款で内線規程の遵守が求められており、事実上電気工事の施工標準として広く使われています。電気工事士の実務で最も頻繁に参照する技術文書のひとつです。
分岐回路の設計基準
内線規程では、分岐回路の設計について詳細な基準を設けています。
分岐回路の種類
| 分岐回路の種類 | 過電流遮断器の定格 | 電線の太さ | コンセントの定格 |
|---|---|---|---|
| 15A分岐回路 | 15A | 1.6mm以上 | 15A以下 |
| 20A分岐回路(配線用遮断器) | 20A | 2.0mm(1.6mmも一部可) | 20A以下 |
| 20A分岐回路(ヒューズ) | 20A | 2.0mm以上 | 20A |
| 30A分岐回路 | 30A | 2.6mm(5.5mm²)以上 | 20A〜30A |
| 40A分岐回路 | 40A | 8mm²以上 | 30A〜40A |
| 50A分岐回路 | 50A | 14mm²以上 | 40A〜50A |
コンセントの施設数
住宅における標準的なコンセントの施設数の目安も定められています。
| 部屋の種類 | 広さ | コンセント数の目安 |
|---|---|---|
| 居室 | 6畳 | 3個以上 |
| 居室 | 8畳 | 4個以上 |
| 居室 | 10畳 | 5個以上 |
| 台所 | — | 4個以上(専用回路含む) |
| 洗面所 | — | 2個以上 |
近年は家電製品の増加に伴い、上記はあくまで最低限の目安であり、実際の設計ではさらに多くのコンセントを設置するのが一般的です。
電線の許容電流と選定
低圧屋内配線の電線サイズ選定
内線規程では、電線の許容電流を周囲温度や敷設方法に応じて定めています。代表的なVVFケーブルの許容電流値は以下のとおりです。
| 導体サイズ | 2心の場合 | 3心の場合 |
|---|---|---|
| 1.6mm | 19A | 17A |
| 2.0mm | 24A | 21A |
| 2.6mm | 33A | 28A |
| 5.5mm² | 40A | 34A |
| 8mm² | 48A | 41A |
| 14mm² | 65A | 55A |
注意: 上記は基底温度30℃における値です。天井裏や直射日光の当たる場所など、周囲温度が高い場所では許容電流の低減率を適用する必要があります。
電圧降下の制限
内線規程では、配線こう長における電圧降下についても基準を設けています。
| 区分 | 電圧降下の制限 |
|---|---|
| 低圧配線のこう長が60m以下 | 幹線・分岐回路を合わせて供給電圧の3%以下 |
| 低圧配線のこう長が60m超120m以下 | 供給電圧の5%以下 |
| 低圧配線のこう長が120m超200m以下 | 供給電圧の6%以下 |
| 低圧配線のこう長が200m超 | 供給電圧の7%以下 |
電圧降下は配線設計時に必ず計算し、必要に応じて電線サイズを太くするか、配線ルートを短くする設計変更を行います。
接地工事に関する規定
内線規程では、接地工事の施工方法について具体的な規定を設けています。
接地線の色別
| 接地種別 | 接地線の色 |
|---|---|
| A種接地 | 緑色 |
| B種接地 | 緑色 |
| C種接地 | 緑色 |
| D種接地 | 緑色 |
接地線は原則として緑色の絶縁電線を使用します。ただし、VVFケーブルの3心を使用する場合は、緑色の心線がないため、白色の心線を接地線として使用し、端末に緑色のテープを巻いて識別します。
接地極の施設場所
- 建物の基礎近くの湿潤な場所が望ましい
- ガス配管から1m以上離すこと
- 他の接地極との離隔は原則2m以上(統合接地を除く)
- 接地極の埋設深さは75cm以上
配線工事の施工基準
金属管工事
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 管の支持間隔 | 2m以下 |
| 管の曲げ半径 | 管内径の6倍以上 |
| 管内の電線接続 | 禁止(ボックス内で行う) |
| 管の接地 | D種接地工事を施す |
合成樹脂管工事(PF管・CD管)
| 項目 | PF管 | CD管 |
|---|---|---|
| 使用場所 | 露出・隠蔽とも可 | コンクリート埋設のみ |
| 支持間隔 | 1.5m以下 | — |
| 自己消火性 | あり | なし |
| 管の曲げ半径 | 管内径の6倍以上 | 管内径の6倍以上 |
CD管は自己消火性がないため、コンクリートに直接埋め込む場合にのみ使用可能です。天井裏や壁の中など露出・隠蔽部分にはPF管を使用します。配管の詳しい使い分けについては、配管の種類と使い分けガイドも参考にしてください。
ケーブル工事
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| ケーブルの支持間隔(水平) | 2m以下 |
| ケーブルの支持間隔(垂直) | 6m以下 |
| ケーブルの曲げ半径 | ケーブル外径の6倍以上(単心は8倍以上) |
| 貫通部の防火措置 | 耐火パテ等で充填 |
住宅用分電盤の施設基準
内線規程では、住宅用分電盤の設計についても基準を設けています。
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 主幹ブレーカー | 漏電遮断器を設置 |
| 分岐回路数 | 居住面積に応じた適正数を確保 |
| 専用回路 | エアコン・IH・食洗機等は専用回路とする |
| 予備回路 | 将来の増設に備え2〜4回路程度確保 |
| 設置高さ | 床上1.5m〜1.8m程度 |
最近の改定で注意すべき点
内線規程は定期的に改定されており、最近の改定で追加・変更された主なポイントは以下のとおりです。
- EV充電設備に関する規定の追加(EV充電設備の設置工事も参照)
- 太陽光発電設備の系統連系に関する規定の拡充
- 感震ブレーカーの推奨に関する規定の追加
- 省エネ基準への対応に関する規定の強化
まとめ
内線規程は電気工事の施工品質を確保するための基本的な技術基準です。分岐回路の設計、電線の選定、配線工事の施工方法など、日常業務で常に参照する内容が網羅されています。
改定情報にも注意を払い、常に最新の基準に基づいた施工を心がけましょう。電線・ケーブルの選定方法については、電線・ケーブルの種類と選定方法でより詳しく解説しています。
