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建設業のペーパーレス化の進め方|段階的な導入ステップ

建設業のペーパーレス化の進め方|段階的な導入ステップ

建設業のペーパーレス化が進まない理由

建設業は他業界に比べてペーパーレス化が遅れているといわれています。その主な理由は以下の通りです。

理由内容
紙文化の根強さ現場での打合せや検査は紙図面が「当たり前」
発注者の要求公共工事では紙での提出を求められるケースがまだある
高齢化ベテラン職人がデジタル機器に不慣れ
法的要件建設業法で保存が義務付けられた帳簿は紙保存が原則だった
投資余力の不足中小企業ではIT投資の優先度が低い

しかし、2022年の電子帳簿保存法改正や2024年の建設業の働き方改革により、ペーパーレス化は「やれたらやる」から「やらないと困る」 段階に移行しています。

ペーパーレス化で削減できるコスト

電気工事会社(従業員20名規模)で紙に関わるコストを試算します。

コスト項目年間概算
コピー用紙代15〜20万円
印刷代(トナー・インク)10〜15万円
ファイル・バインダー代3〜5万円
書庫の維持費(スペースコスト)10〜20万円
書類の検索にかかる人件費50〜100万円(年間)
書類の郵送・FAX費5〜10万円
合計93〜170万円

紙の購入費よりも、書類を探す時間の人件費が最大のコストです。ペーパーレス化の本質は、紙代の節約ではなく業務時間の削減にあります。

段階的な導入ステップ

一度にすべてを電子化しようとすると、現場の混乱と反発を招きます。以下の4段階で進めることをおすすめします。

第1段階: すぐに始められるもの(1ヶ月目)

対象電子化の方法ツール例
日報スマホ・タブレットから入力kintone、LINE WORKS
社内回覧文書メールまたはチャットに置き換えGoogle Workspace、Microsoft 365
名刺管理スマホでスキャンEight、Sansan

第2段階: 現場の書類(2〜3ヶ月目)

対象電子化の方法ツール例
工事写真電子黒板アプリで撮影蔵衛門、SiteBox
図面の閲覧タブレットでPDF・CADデータを閲覧CheX、SPIDERPLUS
KY活動記録タブレットで入力・記録安全管理アプリ

第3段階: 管理書類(4〜6ヶ月目)

対象電子化の方法ツール例
見積書・請求書電子発行・電子保存freee、マネーフォワード
安全書類(グリーンファイル)電子作成・クラウド提出グリーンサイト
契約書電子契約クラウドサイン、GMOサイン

第4段階: 保管書類(6ヶ月目以降)

対象電子化の方法ツール例
過去の紙書類スキャンして電子保存ScanSnap+クラウドストレージ
工事台帳会計ソフト・原価管理ソフトで電子管理建設大臣、どっと原価NEO
資格証明書スキャンして一元管理クラウドストレージ

電子帳簿保存法への対応

2024年1月から、電子取引で受け取った書類は電子データのまま保存することが義務化されました。電気工事会社でも対応が必要な書類は以下の通りです。

対象書類具体例
メールで受領した見積書材料商社からの見積りPDF
Web上でダウンロードした請求書クラウドサービスの利用料請求書
ECサイトの領収書Amazon等で購入した材料の領収書
電子契約書電子契約サービスで締結した契約書

保存要件

要件内容
検索機能日付・金額・取引先で検索できること
見読性画面表示・印刷ができること
タイムスタンプまたは訂正削除の記録改ざん防止措置を講じること

現場の抵抗を乗り越えるコツ

コツ内容
メリットを具体的に示す「図面を探す時間がゼロになる」など、日常の困りごとに紐づける
いきなり紙を禁止しない移行期間は紙とデジタルの併用を認める
使い方を丁寧に教える「1回見せて終わり」ではなく、繰り返し説明する
小さな成功を共有する「日報の電子化で30分短縮できた」などの成果を全社で共有
トップが率先する社長自身がタブレットを使って見せる

まとめ

ペーパーレス化は、一度にすべてを変える必要はありません。日報や社内文書など、簡単なものから段階的に進めることが成功の鍵です。1つの書類の電子化に成功すれば、その便利さが周囲に伝わり、自然と次の電子化が進みます。まずは第1段階から始めてみてください。

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